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倒産防止共済に加入するべきかどうか

こんにちは。大阪市の税理士、山本健介です。

 

中小企業倒産防止共済、お聞きになったことはありますか。

「経営セーフティ共済」とも呼ばれます。

今日はこちらのご紹介です。

 

こんなケースはありませんか?

会社経営。今年は思いのほか順調だ。仕事の依頼が舞い込んでくる。昨年までにまいた種が一気に花開いたかもしれない。今年はだいぶ利益が上がりそうだ。

 

でも順調すぎると逆に不安になってくる。こんなに何でもうまくいっていいのだろうか。急に悪くなった時の備えもしておきたい。

 

「利益が出たときには、できるだけ節税したい」

「取引先が万が一倒産したとき、売上代金が回収できない不安がある」

 

事業経営にはいいときも悪いときもあります。

どんなときでも節税やリスク回避を考えるのではなく、ときには攻めが必要なときもあるでしょう。

ただ、守りの方にバランスを戻したいとき、節税と将来のリスク低減を同時に図りたいとき、倒産防止共済が役に立ちます。

 

倒産防止共済とは

こんな特徴があります。

①掛金を社外に積み立てる

②もしものとき、掛金の10倍を限度に借入れができる

③掛金は経費と同じ扱い

④40ヶ月以上の納付期間で、自己都合解約でも全額戻ってくる

 

①掛金を社外に積み立てる

倒産防止共済とは、国が行う共済制度です。

月額5,000円から20万円までの範囲で、5,000円単位で自分で決めた金額を毎月積み立てます。

最高で800万円まで積み立てることができます。

 

②もしものとき、掛金の10倍を限度に借入ができる

取引先の倒産により、売上代金の回収ができなくなった場合、それまでの掛金の10倍を限度に、その代金と同額の借入れをすることができます。

返済期間は、借入額に応じて変わります。

返済期間

 

利子はありませんが、借入後、借入額の10分の1相当の掛金が控除されます。

そのため、実質的な利率は返済期間に応じ、3.58%(5年)、3.04%(6年)、2.64%(7年)となります。

 

③掛金は経費と同じ扱い

掛金は毎月の保険料として、法人・個人(事業所得のみ)とも必要経費として扱われます。

法人税(所得税)、住民税、事業税のすべてに対して、節税の効果があります。

また、向こう11ヶ月分を前納することもできますので、短期前払費用として翌期の掛金を当期の必要経費にすることも可能です。

 

④40ヶ月以上の納付期間で、自己都合解約でも全額戻ってくる

取引先の倒産などがなくても(もちろんない方がいいのですが)、解約することができます。

そのときは、掛金の納付期間が12ヶ月未満であれば掛け捨て、12ヶ月以上40ヶ月未満は掛金の8割、40ヶ月以上あれば全額が戻ってきます。

戻ってきた掛金は法人・個人とも収益に計上されますので、課税の対象ですが、その年に事業で損失が出ていれば相殺されます。

 

加入資格は

小売業は50人以下、卸売業・サービス業は100人以下、製造業・建設業等は300人以下ですので、ほとんどの中小企業や個人事業主が対象です。

加入資格

 

小規模企業共済との違いは

倒産防止共済と同じ、中小機構が取り扱う制度で、小規模企業共済というものがあります。

こちらも個人事業主や中小企業経営者に利用される制度ですが、その違いはなんでしょうか。

 

1.目的の違い

倒産防止共済の目的は、連鎖倒産の防止です。

つまり、ある会社の倒産によって、その取引先まで倒産してしまわないよう、その影響をできる限り緩和させるために設けられた制度です。

 

一方で、小規模企業共済の目的は、個人事業主や中小企業経営者の退職金の積立てです。

これらの経営者も会社員と同様、安心した老後を過ごせるように、自らの退職金積立てに税制上の優遇を行っています。

 

2.加入資格の違い

小規模企業共済の加入資格は、倒産防止共済よりもっと狭められています。

小売業・卸売業・サービス業は従業員数が5人以下、製造業や建設業は20人以下が対象です。

 

3.掛金の違い

小規模企業共済の掛金は、月額1,000円から7万円までの範囲で、500円単位で自由に選べます。

倒産防止共済のように、800万円という上限もありません。

 

4.解約条件の違い

小規模企業共済は退職金の積立てを目的としていますので、基本的には廃業、または65歳以上になることで共済金を受け取れるようになります。

自己都合による解約(任意解約)もできますが、その場合、20年以上の納付期間がないと掛金は減額されて戻ってきます。

 

5.解約返戻金の違い

倒産防止共済はどれだけ長い間、掛金を納付し続けても、掛金より増えて戻ってくることはありません。

一方で小規模企業共済は、掛金の納付期間と解約理由に応じ、増加して戻ってきます。

(例えば、納付期間20年、廃業による解約の場合、約16%増加して戻ってきます)

また、倒産防止共済の返戻金は事業収入として扱われますが、小規模企業共済の共済金は退職金として扱われますので、受取時も税制上優遇されています。

 

倒産防止共済に加入するべきか

お金の使い方に「攻め」と「守り」があるとすれば、倒産防止共済の掛金は「守り」の支出です。

また、同じ「守り」でも小規模企業共済という選択肢もあります。

将来のリスク低減と、今年の税金を少し節約する効果があります。

ぜひご検討ください。

また、加入に際して、税金のシミュレーションなどサポートが必要な経営者の方がいらっしゃいましたら、こちらのページ下の問い合わせフォームからお問い合わせください。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

(制度の詳細は、以下の中小機構のホームページにてご確認ください)

倒産防止共済(経営セーフティ共済)

小規模企業共済

この記事の投稿者:

山本健介 1983年兵庫県加古川市生まれ。現在は大阪市城東区で税理士事務所を開業しています。税理士業界で10年以上、中小企業から上場企業まで会計・税務のお手伝いをしてきました。国際資格の専門校アビタス非常勤講師(USCPAコース担当)。米国公認会計士。お笑い好き。サッカー日本代表を応援しています。中国語勉強中。

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