同業者(税理士)向けの内容ですが、お客様から報酬をいただく際に所得税を源泉徴収される個人の弁護士、司法書士、社会保険労務士などの方のご参考にもなれば幸いです。
こんにちは、大阪市城東区の税理士、山本健介です。
令和2年最初の記事です。今年は2020年、東京オリンピックがありますね。東京オリンピックといえば、サッカーU-23代表がやはり気になります。オーバーエージ枠に誰が選ばれるかなど話題にしたいことはたくさんありますが、まずはタイで行われるAFC U-23選手権、9日(木)のサウジアラビア戦に注目したいと思います。
年明けからサッカーの話題で恐縮ですが、本年もどうぞよろしくお願いいたします。
個人事業として行っている税理士の場合、お客様からいただく報酬は源泉所得税を差し引いた金額で頂いていると思います。
これは税理士報酬が所得税法204条1項2号に規定する報酬に該当するからですね。弁護士報酬や社労士報酬なども同様です。
ただし、おひとりで個人事業をされている忙しいお客様に、自分に支払う税理士報酬だけのために源泉所得税の納付や支払調書の作成などの手間を発生させてしまうのは申し訳ない。。という税理士の気持ちを汲んでいただいたのかは定かでないですが、同204条2項2号にはこの例外規定が設けられています。
どのような例外規定かというと、「給与等につき所得税を徴収して納付すべき個人以外の個人から支払われる」報酬等については、所得税の源泉徴収を必要としない、という規定です。
つまり、給与支払いのない個人事業者については、報酬について源泉徴収・納付の事務をするのは大変でしょうから、免除しますよ、ということになっています。
この204条2項2号の規定により、給与支払いのない個人事業主のお客様から頂く報酬については、源泉所得税を差し引く必要がありません。お客様にとっても事務処理が軽くなりますので、ありがたい規定です。
ただし、ここでひとつ疑問が浮かびます。
給与の支払いはしているけど、たとえばその給与が少額なので源泉所得税の控除がない場合、204条2項2号の「給与等につき所得税を徴収して納付すべき個人」に該当するのか、どうか。
具体的には、アルバイトなどを採用して月に数万円の給与を支払っているケースや、ご家族を青色事業専従者として月に数万円の給与を支払っているようなケースです。どちらも金額が88,000円未満など少額であれば、源泉徴収義務は生じません。
このようなケースについては、所得税基本通達204-5において規定されています。同通達では、
「給与等につき所得税を徴収して納付すべき個人には、実際に徴収して納付する税額がない者も含まれることに留意する」
とされています。
残念ながら、たとえ少額でも給与の支払いを行っているのであれば、源泉徴収事務の処理能力あり、と判断され、源泉徴収義務が免除されないことになっています。
このようなケースでは結果として、税理士自身の報酬のために、お客様に源泉所得税納付のお手間をいただくことになります。。
以上、報酬等にかかる源泉徴収義務の範囲について検討してみました。
給与の支払いが少額でもあるケースでは、お客様の源泉徴収義務は免除されませんが、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出して、少しでも負担の軽減をはかりましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。