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AICPA sample test REG – Actual expense method

USCPA試験の受験生向けの投稿です。

試験本番が近づいてくると、手もとの問題は学習し終え、新しい問題を求めてAICPA sample testを確認する人も多いと思います。

AICPA sample testは誰でも閲覧可能で、本試験のレベル感を感じ取るのに便利なものですが、解答の解説が公開されていないため、解いてみたもののなぜその答えになったのかがわからず、試験直前に逆にモヤモヤ感が残ってしまう、という経験をされる方も多いようです。

そこで、そのようなモヤモヤ感をスッキリ解消して試験本番に臨んでいただくために、私なりの解説をここで書いてみたいと思います。もちろん公式なものではないため、あくまで学習の参考になれば幸いです。

今回はTESTLET 3の、Linda Madhuriの問題について書きます。

この記事にたどり着いた方はすでに問題を見ていらっしゃる方かと思いますが、念のため、AICPA sample testの問題はこちらからご確認ください。

 

こちらは自動車関連費用についての問題です。

法人が所有する自動車に係る費用は、基本的に全額損金算入ですね。なぜなら法人ですから、その自動車に係る費用は全額その法人のビジネス目的と考えられるからです。

ですが個人事業者の場合、プライベート用とビジネス用に2台自動車を持つことは現実的でしょうか。事業規模が大きければ問題ないかもしれませんが、1台の自動車をプライベートでも個人事業でも使う、というケースも多いでしょう。その場合、ガソリン代や車両保険、修理代や登録費用、減価償却費といった、その1年間にその自動車のために使った費用を、プライベートとビジネス、それぞれどちらのためにいくら使ったのかを区別しなければいけません。そしてビジネスに係る費用だけを税務上の費用にすることになります。これはアメリカでも日本でも同じです。

日本の場合にどのようにこの問題を取り扱うのかについてはまた別の機会にお話しするとして、アメリカでは、このビジネス目的のために使った自動車関連費用を計算するために、Actual expense methodとStandard mileage rate methodという2つの計算方法が用意されています。アメリカの個人事業者は、いずれかの方法を選択して、自動車に係る費用を計算することになっています。

Standard mileage rate methodというのは、走行距離(mileage)に所定のパーセンテージを乗じて、それを費用とする方法です。例えば、こちらのsample testでは、Year 2にビジネス目的で24,000マイル走っています。IRSのWebsiteによると2019年のStandard mileage rateは58%ですが、本問では58.5%と指定されていますので、

24,000 × 58.5% = 14,040

こちらが第1問の解答となります。

Standard mileage rate methodは実際の費用を集計する必要がないので、忙しい個人事業者にとって簡単で便利な方法です。ただ、実際にかかった費用がそれより多い場合には、必要以上の所得税を支払うことになってしまいます。

Actual expense methodは、その名のとおり実際にかかった費用を集計し、その合計にビジネスに使用した割合(走行距離で計算)を乗じて、その金額を税務上の費用として申告する方法です。本問のYear 2では、ガソリン代に7,000ドル、車両保険に4,000ドル、修理代に2,000ドル、合計して13,000ドルかかっています。また、走行距離はプライベートが8,000マイル、ビジネスが24,000マイルですので、ビジネス使用割合は75%(=24,000/32,000)です。したがって、

13,000 × 75% = 9,750

こちらが第2問の解答となります。なお、上記費用のほか、ビジネス使用の駐車代400ドル、ビジネス使用中のスピード違反による罰金650ドルという費用も記載されています。ビジネス使用の駐車代400ドルは、ビジネス使用割合を乗じる必要はなく、全額が税務上の費用になりますので、Standard mileage rate methodとActual expense methodのどちらを選択しても控除できることになります。逆に罰金650ドルについては、いずれの方法を選択した場合も控除できません。

減価償却費についてですが、問題文では耐用年数5年、MACRSで計算すると記載されています。ExhibitsにはMACRSとしてHalf-year convention、mid-quarter convention、Nonresidential real property mid-month conventionの3つの表が用意されていますが、mid-quarterとmid-monthには該当しないので、Half-year conventionの表を使用します。

(Half-year conventionとは、その資産の使用を開始した年と処分した年について、その年のうちいつ使用開始したか、いつ処分したかにかかわらず、半年分の減価償却費を控除する、というルールでした。詳細はご存知かと思いますので割愛します)

Year 1の減価償却費を計算します。MACRS Half-year conventionの表で、Recovery periodが5-yearの列のYear 1は20%となっていますので、これを自動車の取得原価に乗じ、さらにビジネス使用割合75% (= 15,000/20,000) を乗じます。

20,000 × 20% × 75% = 3,000

こちらがYear 1の減価償却費です。次にYear 2の減価償却費ですが、上記の表のRecovery period が5-yearの列のYear 2は、32%となっています。これを取得原価に乗じ、さらにビジネス使用割合を乗じます。加えて、この2年目の終わりに車両を処分(売却)していますので、半年分にするために1/2を乗じます。

20,000× 32% × 75% × 1/2 = 2,400

こちらが第3問の解答となります。Year 1とYear 2の減価償却費がそれぞれ求まりました。そうすると、Year 2の年末、売却直前の自動車の簿価は、

20,000 – (3,000 + 2,400) = 14,600

となります。こちらが第4問の解答となります。

解説は以上です。アメリカの会計事務所で勤務経験がある方なら見慣れた税務処理かもしれませんが、そうでないUSCPA受験者にとっては、この問題を最初見たときに戸惑うかもしれません。私もそうでした。

ただ、落ち着いて考えればそんなに難しい処理ではないので、もし試験本番で出題されたとしても落ち着いて対応していただければと思います。

Standard mileage rate methodとActual expense methodについては、IRSのこちらのWebsiteにも解説されていますので、よろしければ参考になさってください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の投稿者:

山本健介 1983年兵庫県加古川市生まれ。現在は大阪市城東区で税理士事務所を開業しています。税理士業界で10年以上、中小企業から上場企業まで会計・税務のお手伝いをしてきました。国際資格の専門校アビタス非常勤講師(USCPAコース担当)。米国公認会計士。お笑い好き。サッカー日本代表を応援しています。中国語勉強中。

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