会社設立支援-これから起業される方
・これから起業される方へ
会社員時代に磨き上げた経験と築き上げた人脈を活用して、または独創的なアイディアを形にして理想を実現するために、
独立・起業に向かってはじめの一歩を踏み出そうとされているみなさまを、心より応援したいと思います。
さて、その起業するときに検討したい、2つの方法について。
個人事業として始めるのか、法人を設立して始めるのか。
一般に法人の方が、個人よりも信用度が高く、金融機関からの融資も受けやすいと言われています。まずは開業されるビジネスの内容や規模に応じて、個人事業にするか法人にするかを検討する必要があります。
そして、どちらで始めてもかまわないのであれば、私は個人事業から始めることをお勧めします。
個人事業から始める3つのメリット
-
1. すぐに始められる
法人を設立するには、定款の作成や設立登記などに少なくとも2週間以上かかります。その時間と手間を省略するために専門家に依頼する場合、下記の2の初期費用に加えて専門家手数料の負担があります。個人事業から始める場合、これらの手間や負担をいったん回避することができます。
-
2. 初期費用をおさえられる
法人を設立する場合、定款の認証手数料として5万円、定款に貼付する収入印紙代4万円(電子定款であれば不要)、登記申請時に登録免許税として少なくとも15万円が必要になります(設立を専門家に依頼する場合、通常その業務手数料も必要になります)。個人事業から始める場合、これらの負担をいったん回避することができます。
-
3. 税金を節約できる
-
① 均等割(7万円(※1))を毎年節約できる
法人として事業を行うと毎年法人税が課されますが、法人税には所得(≒利益)が出ていない年度、つまり赤字の年度でも課される均等割という税金があり、大阪市内に設立された法人の場合、毎年大阪府に2万円、大阪市に5万円を必ず納付しなければなりません。一方で、個人事業に課される所得税にこのような税金はありません(※2)。
※1 大阪市内に設立された法人の場合です。設立地の都道府県・市町村により金額は異なります。※2 個人住民税にも均等割はありますが、法人住民税に比べると少額です。また、個人住民税の均等割は事業を行っていない個人にも課されます。 -
② 利益が少ないうちは税率が低い
また、法人税と所得税では税率が異なります。所得税率は2019年現在、5%から45%まで所得が高くなるほど税率も上がる累進課税ですが、法人税率は所得800万円まで15%、800万円を超える部分には23.2%の2段階均一課税が採用されています。一般に、創業当初は初期投資などもあり利益が低く出るものですので、個人事業の方が税負担をおさえられます。
-
③ 消費税を節約できる
個人事業主も法人も、一定の要件に該当する場合には消費税を納付する義務が生じます。その一定の要件とは、原則として2年前の売上高(※1)が1,000万円を超えているかどうかで判定します(※2)。つまり、2年前に事業を行っていない1期目と2期目は原則として消費税の納税義務はありません。
個人と法人は別人格として扱われますので、1期目と2期目を個人事業として行い、消費税の納税義務が生じるタイミングの3期目からは法人として事業を行えば、そこから2年間は再度消費税の納税義務が免除されます。ただし、資本金1,000万円以上の法人は設立当初2年間の免除がないなどの例外があります(※3)。
※1 消費税課税対象の売上高に限ります。※2 2年前の売上高が1,000万円以下であっても、直前期の上半期の売上高が1,000万円を超えている場合などには免除されません。※3 消費税の納税義務の判定は複雑ですので、必ず税理士に相談してください。
-
なお、個人事業主と法人では社会保険料の負担も異なりますが、将来の給付まで考慮すると比較が困難になり、個人事業の方が明らかに有利!とは言えませんので、説明を省略しています。
以上、主に税負担の観点から個人事業として起業をスタートするメリットをご説明しました。
なお、許認可の必要な事業を営まれるご予定の場合、個人事業で取得した同じ許認可を法人設立時に再度取得しなおす必要があるなどの手間も考えられますので、ご自身の事業内容に照らして検討する必要があります。