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住宅ローン控除の延長(平成31年度税制改正)

こんにちは、大阪市城東区の税理士、山本健介です。

平成30年12月14日(金)、平成31年度税制改正大綱が自民党のウェブサイトにて公表されました。

平成31年(2019年)には、10月1日に消費税が現在の8%から10%に引き上げられることが決まっています。

前回(平成26年4月)消費税が5%から8%に引き上げられた際には、直前の駆け込み需要とその後の反動による需要の減少で景気の回復が弱まりました。

その反省を活かし、引き上げ前と後での需要変動をなるべく小さくするように、いくつかの施策が今回の税制改正には盛り込まれています。

そのひとつが住宅ローン控除の延長です。

これはどのような制度なのでしょうか。そしてどのように消費税の増税による需要の変動を抑えようとしているのでしょうか。

そのあたりについて検討したいと思います。

現在の住宅ローン控除について

税制改正の内容を見るまえに、現在の住宅ローン控除の内容について確認したいと思います。

とは言いましても、住宅ローン控除の内容をここにすべて細かく載せることは、さすがにできません。こちらの国税庁HP(住宅を新築又は新築住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除))などをご参照ください。

「住宅借入金等特別控除」というのは、住宅ローン控除の正式名称です。

ざっくりと言いますと、3,000万円以下の所得の人が10年以上のローンで50㎡以上の住宅を新築・取得した場合、最初の10年間は年末のローン残高の1%(毎年40万円が限度)をその年の所得税・住民税から控除しますよ、という制度です。

平成31年度税制改正の住宅ローン控除の延長

では今回の改正はどのようなものかと確認しますと、消費税が10%に引き上げられたあとに住宅を購入し、平成31年(2019年)10月1日から平成32年(2020年)12月31日までの間にその住宅の引渡しを受けて住み始めた場合、住宅ローン控除の期間が3年間延長されます。

つまり、11年目から13年目までの3年間についても、住宅ローン控除の適用が受けられる(所得税・住民税がいくらか安くなる)というわけです。

ただし、この11年目から13年目に控除を受けられる金額は、10年目までと同じ「年末のローン残高の1%(毎年40万円を限度)」ではありません。控除を受けられる金額は、以下のいずれか低い方とされています。

・年末のローン残高の1%(毎年40万円を限度)

・住宅(建物部分)の取得金額(消費税等除く。4,000万円を限度)×2%÷3

11年目以降にまだローンがたっぷりと残っていても、40万円を所得税・住民税から控除できるとは限りません。最初に購入したときの建物の金額の2%を3で割った金額が、延長期間の1年あたり控除できる上限金額となります。つまり3年間で建物の金額の2%が上限ということです。

結局は増税部分が控除の限度

勘の良い方はすでにお気づきかもしれませんが、延長3年間の控除の上限となる「建物の金額の2%」は、つまり8%から10%に増税された消費税部分、ということになります。

住宅は、購入するときに通常土地と建物を一括して購入しますが、土地はそもそも消費されるようなものではないので、消費税はかかりません。したがって住宅購入時には建物にだけ、消費税がかかります。

その建物にかかる消費税の増税分について、10%の増税後も、2020年12月31日までに入居したのであれば、13年後にはその増税部分を返しましょう、というのが今回の住宅ローン控除の改正の内容というわけです。

それも、注意していただきたいのは、絶対に返ってくるわけではありません。「年末のローン残高の1%(毎年40万円を限度)」の方が低ければ、そちらの金額が延長期間の控除額になりますし、そもそも、13年後まで自分(または家族)が居住していないと住宅ローン控除は受けられなくなりますので、仕事の都合で引っ越すことになり、自宅は他人に賃貸することになったという場合には、住宅ローン控除がまだ途中の期間でも(10年または13年経っていなくても)受けられなくなります。

まとめ

先日ある経済ニュースキャスターが「増税後に購入する方が得なんじゃないか、と言う人もいる」とコメントしていましたが、ここまで検討してきたとおり、2020年12月31日までに入居すれば増税分を取り戻せる可能性はあるものの、「増税後に購入する方が得」と言える状況ではなさそうです。

ただし、取り戻せる可能性を残すことで、住宅の購入に関しては、2019年9月30日に向かって契約が激増し、その後に激減するような著しい変動はたしかにおさえられるかもしれません。

住宅の購入に関しては、消費税の増税だけを考慮すれば2019年9月30日より前に購入する方がメリットがありそうですが、ほとんどの方にとって一生で一番大きな買い物ですので、消費増税には惑わされずに、自分や家族にとって一番気に入ったものを見つけて購入してほしい、と心から思います(私がエラそうなことを言える立場ではまったくないのですが。。) 。

今回は、平成30年12月14日に公表された自民党の平成31年度税制改正大綱のうち、住宅ローン控除の延長について見てきました。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の投稿者:

山本健介 1983年兵庫県加古川市生まれ。現在は大阪市城東区で税理士事務所を開業しています。税理士業界で10年以上、中小企業から上場企業まで会計・税務のお手伝いをしてきました。国際資格の専門校アビタス非常勤講師(USCPAコース担当)。米国公認会計士。お笑い好き。サッカー日本代表を応援しています。中国語勉強中。

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