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個人住民税のはなし(大阪市)

こんにちは。大阪市城東区の税理士、山本健介です。

 

今回は、個人住民税についておさえておきたい基本事項を書いてみたいと思います。

 

1.前年の所得に対して課される

まず、これです。前年の所得に対して課されます。

言い方をかえると、1年おくれで納付する、とも言えます。

その納付期間は、6月から翌年5月まで。

つまり、平成31年1月から令和1年12月までの所得に対する住民税は、令和2年6月から令和3年5月までの1年間で納付することになります。

 

ときどき、プロ野球選手とか芸能人とか、1年間すごく活躍して収入が増えて、翌年は成績不振で収入が下がって、稼いだお金は全部つかってしまったので翌年にくる住民税の納付ができない、なんてニュースを見ますね。

 

2.普通徴収と特別徴収

個人住民税の納付方法ですが、普通徴収と特別徴収の2種類があるんですね。

普通徴収というのは、前年の所得に対する住民税を、年4回(通常6月、8月、10月、翌年1月)に分けて納付する方法です。

直接、銀行や郵便局、市役所の窓口にいって納付します。コンビニでも納付できます。

もうひとつの特別徴収というのは、会社(事業主)が従業員に給料を支払う際に天引きして、会社(事業主)が納付するという方法です。

この特別徴収ですが、会社などにお勤めの方にとっては、こちらが原則の納付方法になります。他にメインの仕事がある人(乙欄給与者といいます)など以外は、原則として特別徴収により住民税を納付します。好きな方を選べるわけではありません。

「普通」徴収が例外で、「特別」徴収が原則です。

ことばの意味が逆になってますが、そういうことなんです。。

 

3.均等割と所得割

個人住民税の内訳のはなしです。

均等割と所得割の2種類がありまして、基本的にどちらも納付します。

均等割は、所得の多いか少ないかにかかわらず、市民みんなに課されます。

大阪市では、府民税1,800円と市民税3,500円の合計5,300円です。

もうひとつ、所得割は前年の所得に税率を乗じて課されます。

税率は、府民税2%と市民税8%の合計10%です。

当然、所得の大きい人ほど多く納付することになります。

 

(余談)所得税と住民税の違いについて

急にはなしたくなったので脱線しますが、毎月給与から天引き(源泉徴収)される所得税と住民税、ちがいはご存じですか。

住民税は、確定済みの税額を1年遅れで控除しています。

それに対して所得税は、その年の税額を見込みで控除しています。

令和2年2月の給与から源泉徴収される所得税、これは令和2年の所得税です。

源泉徴収税額表という表がありまして、これをみると扶養親族数に応じて、社会保険料控除後の給与額からその月の源泉所得税額がわかるようになっています。

でも令和2年の所得税が確定するのは、令和2年12月に最後の給与を受け取ったときです。

ですので、1月から11月までは見込みの金額を控除しておいて、最後の12月給与支給時に所得税額を確定させ、控除しすぎた分があれば返し、逆に不足があれば追加徴収する、ということをします。

これを年末調整といいます。

 

もうひとつ、所得税と所得割の計算方法について。

これは、だいたい同じなんですが、細かい部分でちがいます。

生命保険料控除と人的控除の金額がちがう、寄附金控除が住民税では税額控除、などの違いがありますが、これはいずれまた別の機会に。

 

4.非課税枠について

個人住民税のはなしに戻ります。

非課税限度額、というものがあるんですね。

均等割は課されても金額が小さいので、所得割の非課税限度額にしぼってお話します。

所得割の非課税限度額ですが、以下のように計算します(地方税法附則3の3①④)。

 

1)同一生計配偶者または扶養親族がいる場合

35万円 × (本人+同一生計配偶者+扶養親族)の人数 + 10万円 + 32万円

2)同一生計配偶者または扶養親族がいない場合

35万円(給与収入であれば100万円以下)+ 10万円

 

同一生計配偶者とは、給与であれば103万円以下の配偶者です(青色事業専従者などは除きます)。

大阪市のホームページをもとに、前年の給与収入別に表を作成しました。こんな感じになります。

住民税非課税

ここで注意したいのは、扶養親族です。

所得税の計算で扶養控除を受けることができる「控除対象扶養親族」は、その年12月31日時点で16歳以上であることが要件です。

15歳未満は「年少扶養親族」と呼ばれ、所得税の計算上、扶養控除の対象としてカウントできません。

これは、15歳未満の子どもに対しては児童手当を支給してるんだから、所得税の計算まで優遇しなくてもいいでしょ、ということでこうなっています。

ただし。

住民税の非課税枠を計算する際の「扶養親族」には、年少扶養親族も含めて計算します。

そのため、夫婦が共働きの場合で15歳以下の子どもがいるとき、その子どもをどちらの扶養親族として申告するかにより、住民税の負担が異なるケースがあるということです。

たとえば、ある夫婦に15歳以下の子が2人いて、仮に男性の方が所得が大きいとして、奥様にも200万円ほどの給与収入があるとします。

この場合、子2人を男性の扶養親族とするのではなく、奥様の扶養親族とすることにより、奥様の住民税非課税限度額が増え、住民税(所得割)の負担がゼロになります。

共働き世帯のほか、自営業で奥様(または旦那様)に給与を支払っているケースなどで該当することがありますので、確認したいところです。

なお、所得税と住民税の扶養関係は一致させる必要がありますが、所得税・住民税と社会保険料の扶養は一致していなくても問題ありません。

 

まとめ

以上、個人住民税について基本事項をまとめてみました。

住民税(所得割)の税率は一律10%ですので、所得が低い年には負担感が大きくなります。しかも1年遅れでやってきます。

上記の非課税枠のフル活用のほか、ふるさと納税などで対策することもできますので、よければお気軽にご相談ください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の投稿者:

山本健介 1983年兵庫県加古川市生まれ。現在は大阪市城東区で税理士事務所を開業しています。税理士業界で10年以上、中小企業から上場企業まで会計・税務のお手伝いをしてきました。国際資格の専門校アビタス非常勤講師(USCPAコース担当)。米国公認会計士。お笑い好き。サッカー日本代表を応援しています。中国語勉強中。

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