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資本金の額はいくらにしますか?(中小企業向け特例措置) 貸倒引当金

前回、法人税法などの中小企業向け特例措置について解説しました。

資本金の額が1億円以下の法人には、大法人の100%子会社などの例外を除いて、税務上いくつかの優遇措置が設けられています。

今回はそのうちのひとつ、貸倒引当金繰入額の損金算入についてお伝えします。

貸倒引当金繰入限度額の計算

貸倒引当金とは、自社の有する売掛金などの金銭債権についてある程度の貸倒れが見込まれる場合に、あらかじめその見込金額を費用計上し、負債として引き当てておくものをいいます。

資本金の額が1億円以下の中小法人等は貸倒引当金繰入額を損金算入することができることを前回お伝えしましたが、会計で計上したその繰入額を無制限に損金算入することができるわけではありません。

法人税法において繰入限度額の計算方法が定められており、その繰入限度額を超える部分の金額は加算(留保)調整されます。

その繰入限度額の計算方法ですが、貸倒引当金には個別貸倒引当金と一括貸倒引当金の2種類があり、それぞれの種類に応じて計算方法が定められています。

個別貸倒引当金繰入限度額の計算

「この間の売上代金をまだ回収していないけど、あそこはもうヤバそうだ。。」

事業を行っていると、得意先がもう倒産しそうだとか手形が不渡りになったなどの理由で金銭債権の回収が難しくなることもあると思います。

そういった回収見込みの厳しい金銭債権(個別評価金銭債権といいます)については、その貸倒れが見込まれる金額を税務上損金算入することができます(法法52①、法令96)。

具体的には以下の4つが規定されています(法令96①)。

条文 貸倒れとされる事実
繰入限度額
1号 事業年度終了の時において有する金銭債権に係る債務者について生じた更生計画認可の決定等の事由に基づいてその弁済を猶予され、又は賦払により弁済されること
その金銭債権の額のうちその事由が生じた日の属する事業年度終了の日の翌日から五年を経過する日までに弁済されることとなつている金額以外の金額(取立て等の見込みがあると認められる部分の金額を除く。)
2号 事業年度終了の時において有する金銭債権に係る債務者につき、債務超過の状態が相当期間継続し、かつ、その営む事業に好転の見通しがないこと等により、その金銭債権の一部の金額につきその取立て等の見込みがないと認められること
その一部の金額に相当する金額
3号 事業年度終了の時において有する金銭債権に係る債務者につき更生手続開始の申立て等の事由が生じていること
その金銭債権の額(実質的に債権とみられない部分の金額及び取立て等の見込みがあると認められる部分の金額を除く。)の50%に相当する金額
4号 事業年度終了の時において有する金銭債権に係る債務者である外国の政府等の長期にわたる債務の履行遅滞によりその金銭債権の経済的な価値が著しく減少し、かつ、その弁済を受けることが著しく困難であると認められること
その金銭債権の額(実質的に債権とみられない部分の金額及び取立て等の見込みがあると認められる部分の金額を除く。)の50%に相当する金額

3号の「実質的に債権とみられない部分の金額」とは、同一の人物や法人に対して売掛金と買掛金を有する場合の買掛金部分の金額をいいます。ただし、支払手形は含まれません(法基通11-2-9)。

また、手形交換所の取引停止処分、いわゆる不渡手形は上記3号の規定が適用されます(法基通11-2-11)。

(参考:国税庁HP 別表11(1)

一括貸倒引当金繰入限度額の計算

個別評価金銭債権のように高い確率で貸倒れが見込まれるようなものではない通常の一般債権でも、たくさんあればそのうちの何パーセントかは貸倒れてしまうこともあります。

そのような通常の一般債権(一括評価金銭債権といいます)に対する貸倒引当金も、繰入限度額の範囲内で損金算入することができます。

繰入限度額の計算には1)貸倒実績率に基づく方法、2)法定繰入率に基づく方法の2種類があり、有利な方法(繰入限度額がより大きい方法)を用いることができます。

(参考:国税庁HP 一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の設定

法定繰入率に基づく方法の、期末一括評価金銭債権の帳簿価額から差引く「実質的に債権とみられないもの」には支払手形を含みます。個別貸倒引当金繰入限度額計算の法人税法施行令96条1項3号の場合とまぎらわしいのでご注意ください。

まとめ

貸倒引当金の繰入限度額の計算方法について解説しました。

貸倒引当金については、以前は中小法人等以外の法人にも繰入限度額までの損金算入は認められていました。その中で一括貸倒引当金の法定繰入率による繰入限度額計算だけは中小法人等にしか認められていませんでした。

しかしながら平成23年度税制改正により中小法人等以外の法人の損金算入は、平成23年度は繰入限度額の75%、平成24年度は50%、平成25年度は25%と年々縮小され、平成26年度からは認められなくなり現在に至ります。

法人税率はその当時から現在まで低減する方向にありますが、一方でこの貸倒引当金のように個別の規定で損金算入を認めないようにして、課税ベースは拡大されているのが最近の税制改正の傾向といえます。

ただし、この貸倒引当金のように中小法人等には損金算入が認められている特例措置がありますので、ぜひ活用して節税に活かして頂きたいです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の投稿者:

山本健介 1983年兵庫県加古川市生まれ。現在は大阪市城東区で税理士事務所を開業しています。税理士業界で10年以上、中小企業から上場企業まで会計・税務のお手伝いをしてきました。国際資格の専門校アビタス非常勤講師(USCPAコース担当)。米国公認会計士。お笑い好き。サッカー日本代表を応援しています。中国語勉強中。

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